満艦飾とは? その答えを辞書で調べてみた。
「海軍礼式の一。祝祭日や観艦式などの際に、停泊中の軍艦が鑑全体を信号旗・万国旗などで飾りたてること」とある。
この用語を釣りに例えるとすれば、さしずめ今がシーズンのメバルのサビキ釣りではないだろうか…。
ほとんどのサビキバリにメバルが食い付き、鈴なり状態になっているのを見て「おおっ! 満艦飾や」と叫んだのは、今は亡き釣りの先輩であった。
多獲を好むわけではないが、時には思う存分釣ってみたいという欲望も、まだ心の片隅にはある。
ならば、と思い立ったのが鳥羽のメバル釣りだった。過去に何度か出かけたことはあるが、1度として振られたことはないし、行く度に『満艦飾』が体験できる嬉しい釣り場なのである。
外洋よりも塩分濃度が低くて潮の甘い伊勢湾は、きっとメバルにとって棲み心地のよい場所に違いない。そんなことを考えながら、鳥羽へと車を走らせたのだ。
今回の釣り船は、鳥羽市の赤崎岸壁から出船している乗合船の仁洋丸。
赤崎岸壁を離れた船は、真珠島の横をすり抜け、佐田浜沖に浮かぶ小さな3つの島近くから攻め始めた。
メバル用のサビキ仕かけに冷凍のイサザのエサを刺して底まで送り届けると、待ってましたとばかりにアタリがくる。
最初に少し気を持たせるような小アタリがでて、その後一気に竿先が水面に突き刺さるダイナミックなアタリがやってくる。
この瞬間こそ、湧出したアドレナリンが逆流するのではないかと思うほどの興奮が味わえるのだ。
さて、「満艦飾」を味わえたのは、佐田浜沖でひとしきり釣った後、船長はしばらく船を東側へと走らせて、坂手島の北側へポイントをかえた時。ちょうど伊勢湾フェリーの航路筋より、島側へ寄った場所だ。
オモリが着底したら、すぐに50cmほど巻き上げてやると、すかさずアタリがでる。
ブルン、ブルブルとアタリが続くが、そこはじっと我慢で待ち続ける。で、頃合いよし!!と巻き上げてみたら、1尾、2尾、3尾…合計6尾のメバルが食っていた。パーフェクト達成、これぞ満艦飾だと納得した瞬間だった。(テキスト・写真 今井浩次)
使用タックル
竿:海春50号3m(シマノ)
リール:オシアコンクエスト200HG(シマノ)
道糸:タナトル8 1号(シマノ)
仕掛け:幹糸2号、エダス1号20cm(枝間40cm)、ハリ6号シラスロングカット、オモリ60号
※この記事は2019年3月1 日発売の週刊釣場速報に掲載された記事を再編集、 加筆したものです