
今井浩次(Koji Imai)…船釣り、渓流釣り、アユ釣りetc…各地を釣り歩く、おなじみサンTV・ビッグフィッシングの解説者。シマノアドバイザー
今年も暑い。昨年以上に暑い。このクソ暑い夏を乗り切るにはどうすればよいか?
避暑に出かけられるほどの余裕もないし、だからと言って大好きな釣りに出かけるのを止める気もないし…。
そこで脳天気な僕が思い付いたのは、頭皮がじりじりと焼ける炎天下の釣りを避け、夜釣りに出かければよいのだと…。
この時期、夜釣りと言えばイカが定番だが、調べてみたらタチウオの夜釣りがあった。
大阪から比較的近い和歌山県の湯浅湾も、昔からタチウオの夜釣りが盛んな土地柄だ。
それも大阪湾のようなテンヤタチウオではなく、東京湾と同じように天ビンを使ったエサ釣りなのだ。
タチウオの天ビン釣りは、あまりやったことがない釣りなので、これに飛び付いた。

夜釣りの仕かけは大阪湾では珍しい天ビン仕かけを使用する
出かけたのは、台風10号が中国地方を縦断した日の2日後だった。
快晴で風もなく、海は油凪だったが、今回の台風で近畿南部の海も大荒れになったはずだ。
その後遺症が残っていないかが、唯一の気がかりだった。
17時過ぎ、栖原の乗合船かるも丸は、静かに護岸を離れた。
ポイントが湯浅湾口なので全速で走ればあっという間に到着する。
それから30分も経たない内に、船はアンカーを下ろした。
タチウオの群れがやってくるのは日が暮れてからだが、周りが明るい内から気まぐれで食ってくる奴がいるから、とりあえず竿だけは出しておきたいと準備を始めた。
竿はシマノのライトゲームCI4+タイプ82M195をチョイスした。

竿は先調子のライトゲームCI4+type82M195をチョイス
小アタリが多く、エサを取るのが上手な魚なので、アタリがでたらどんどん掛けていくために、あえて先調子の竿を選んだのだ。
長さも195cmで軽くて操作しやすいから、小刻みな誘いが掛けやすいのも利点だ。
道糸の先に全長30cmほどの半月天ビンを付け、仕かけはハリス12号の2本針だ。
仕かけが少し太いようにも思うが、地元で「オヤマ」と呼ぶシマフグやサバフグ、エソなどが掛かってよくハリスを切られるので、あえて太くしてあるのだ。
18時過ぎ、逸る気持ちを抑えて仕かけを下ろした。
「底を取ったら4mほど巻き上げてアタリを待て」と指示があったので、その通りにしようと3回ほどリールを巻いたら、いきなりググッときた。
まさかタチウオではあるまいと、船長の方を見て首を左右に振ったのだが、予想に反していきなり80cmほどのタチウオのが食ってきたのだ。
船中1番乗りは嬉しいが、これはひょっとしたらスミイチになるのではと嫌な予感がした。
日が沈むまで、しばし空白の時間が流れた。どうやらタチウオは湾外から群れをなして入ってくるらしく、アタリが出始めると周りでも一斉に竿が立つ。

時合には船中で次々と竿が曲がった
人によって誘い方はいろいろだが、この日はワンピッチジャークで細かく誘い上げながら食いアタリをだすようにした。
2尾目、3尾目が釣れてスミイチは杞憂に終わったが、それにしてもアタリがでるのが間遠く、いつものようにテンポよく釣れない。
コンと小さなアタリがでた時に思い切って掛け合わせてみるが、9割近くは掛からない。
コンとアタリがでてもエサが残っていれば、そのまま誘い続けていると針に乗ってくる。
それが分かるまでにムダに時間を使い過ぎた。
この日、アタリの数が少なかったのは、台風の影響で潮が濁りすぎたせいかも知れない。
なので数が伸びなかった。
22時半過ぎに納竿。

船中では良型タチウオのダブルヒットもあった
サイズは75~90cmで、6尾で打ち止めだった。

筆者の釣果は6尾だった
肉厚で「ここのタチウオは旨いよ」と船長が言っていた通り、塩焼きにすると絶品だった。
僕のオススメはタチウオの蒲焼き。蒲焼きにしたものを丼にしても美味しい。

タチウオのオススメ料理は蒲焼き。丼にしても絶品だった
※この記事は2019年9月6日発売の週刊釣場速報に掲載された記事を再編集、加筆したものです。