船テンヤタチウオ上級者へのステップアップ、名手の爆釣メソッド!! 高槻慧【ジャーク&スロー、バイブレーション釣法in大阪湾Ver.】

タチウオ特集

高槻 慧(たかつき さとし) プロフィール

小学生でバスフィッシングを始め、今では沖釣りにハマり、タチウオ、マルイカ、カワハギなど、東京湾を中心としたテクニカル系の釣り物を得意とするダイワフィールドスタッフ。「釣りは魚を釣ることじゃない、魚釣りを楽しむことだ」をモットーに釣りの楽しさを伝える若き名手。東京湾でのテンヤタチウオ釣りをけん引する名手の一人で、「ノンストップ・バイブレーション釣法」の開発者。2020大阪湾タチウオKINGバトルのセミファイナリスト・同2021のファイナリスト

船のテンヤタチウオ釣りは、タックルの進化とともに、その釣り方も旧来とは一変し、全国各地でいろいろな釣法が生まれています。

そして、それがエリアに合った釣り方なら、コンスタントに好釣果を上げることができるのも当然です。

そこで気になるのが、よく釣る人、いわば「名手」と呼ばれる人たちの釣り方。

偶然、同船しても釣座が隣同士にならない限りは、なかなかじっくりと観察できないですよね。

ここでは普段、見ることができないテンヤタチウオの名手の釣りを、タックルから釣り方までを紹介します。

今回は東京湾を主戦場にする【ノンストップバイブレーション釣法】の名手、ダイワフィールドスタッフの高槻慧氏が、自身の釣りを大阪湾流にアレンジした攻略法にスポットを当てました。

高槻慧流 大阪湾船タチウオ攻略法とは

東京湾で「ノンストップバイブレーション釣法」と呼ばれる、テンヤを常に小刻みに動かし続ける釣り方で、タチウオの好釣果を上げるダイワフィールドスタッフの高槻慧氏。

近年は大阪湾での船タチウオ釣りでも、競技会などで高実績を残しています。その高槻氏が、今回は大阪湾の洲本沖で実釣。東京湾での釣り方とは、またひと味違う大阪湾にアレンジしたバージョンで、見事に攻略してくれました。

高槻氏の考えは、やはり東京湾に比べて、大阪湾はポイントの水深も深く、幅広いタナを探るので、釣り開始時はジャーク&スローをメインにスピーディーにタナをサーチ。そして、活性の高いタチウオをメインに釣っていくというもの。

得意のノンストップバイブレーション釣法は使わないのかと言うと、それは臨機応変に、食い渋った時や、タチウオが追う幅が少ない時にはステイを入れるバイブレーション釣法で狙うという考え。実釣当日は、これが見事にハマりました。

ジャーク&スロー

「ジャーク&スロー」とは、ジャークを入れながら、電動リールでスローに巻き上げ続けるという釣り方。

ジャークの幅、回数、強弱などは、それぞれ状況に合わせていくものの、比較的早く幅広いタナを探ることができるのが特長。また、ラインが常に張っているので、アタリが分かりやすいというメリットもあります。

高槻氏のジャークは、やや下向きに構えた状態から、水平レベル辺りまでを力強く2度巻きシャクって、ピタッと穂先を安定させるやり方。

イメージはこんな感じです。この状態から↓

水平レベル辺りまでの、シャクリ幅が狭めのジャークを連続で2回入れます。この時、テンヤの移動幅は少ないものの、キビキビと力強くテンヤを動かすイメージです。

そして、穂先をピタっと静止。

このタイミングで、穂先に集中し、大きく浮くアタリや押さえ込むアタリは即座に掛け合わせますが、基本的に活性が高くてタチウオが追ってくる時は追わせるそう。逆に活性が低くて、なかなかエサを追わない時には、即掛けで全て合わせていくスタイルです。

このスタンス、活性の高い時は追わせて確実に掛け、渋い時は1度のバイトで終わる可能性もあるので、そのチャンスを逃さないように全て合わせて1尾でもモノにしたいという考えで、合わせに関しては、剛柔を使い分けています。

電動巻きの速度

「ジャーク&スロー」のスローは、スロー巻きを意味します。

高槻氏がパイロット的に目安とする巻き速度は、ダイワのシーボーグ200Jで速度3、または4。

このぐらいのスロー巻きを入れながら、時おりジャークを2回入れてタチウオにアピールしていきます。

また、タチウオの反応を見て、活性が低いと感じた時は、巻き速度1や2でデッドスローに巻き上げるとか。この辺りは臨機応変に対応していきます。

タナの探り方

高槻氏のタナ探りを見ていると、朝イチの洲本沖ではドラゴンクラスの大型を期待したこともあり、底からのサーチ。

力強いジャークを2度入れながら、ハンドルを1回転ほど素早く巻き、ピタッとステイします。止める時間は極短め。およそ1~2秒で、次のジャークへと移っていきます。

このステイ時間も、タチウオの活性を見て判断し、渋い時にはステイ時間を長めに取り、ジャークもソフトにしていくそうで、ロングステイ時は5秒ほど止めて待つとか。

まずは、この誘いをアップテンポで行い、どこで反応があるかを見て、タナを絞っていくそうです。

食い渋り時に効果的なバイブレーション釣法

大阪湾での高槻氏の釣り方は、ジャーク&スローが基本となりますが、自身が編み出した「ノンストップバイブレーション釣法」もアレンジして使うことがあります。

それが、「バイブレーション釣法」と「定点バイブレーション釣法」。

どちらもノンストップに動かし続けるのではなく、“食わせの間を入れる”釣り方で、定点の方は巻き上げずに同じタナをじっくり攻める釣り方です。

ちなみに、定点バイブレーション釣法は、2021年の大阪湾タチウオKINGバトルのセミファイナルにおいて、食い渋りの時間に試したところ、それまで食い渋っていたタチウオが好反応を見せ、周りがアタリもない中、1人アタリをだし続けて数を伸ばした釣法だそうです。

リズムよく竿で叩いてステイ

では、そのやり方。

竿の構えはこんな感じです↓

利き手でリールをパーミングし、もう片方の手はリールシートの前に添えるイメージ。

この状態から、カワハギ釣りのタタキの誘いのように、竿でリズミカルに叩いていきます。

誘い幅は、およそ30~50cmほど。

レベルに構えた位置から、この辺りまで穂先を持ち上げる感じ↑

これを素早く繰り返して叩きます。

5~10秒ほど叩けば、ピタッと止めてステイ。

この時に、アタリを取って即アワセで掛けていきます。

ステイ時からのアワセは、グッと力強くアワセ幅も小さめですが、竿を叩いてテンヤを動かしている時は、大きく突き上げるようなイメージのアワセ。

この時は多少糸フケが出ている分、しっかりとフッキングさせるために、アワセ幅も大きく取ります。

高槻氏いわく「バイブレーション中にでるアタリは、ほぼ手感度でしか分からない。テンヤの重さが抜けたり、重くなったりの違和感があれば全て合わせていく」。

アワセを入れて掛からなかった場合は、そのまま同じタナで叩いて、再びステイ。タナを変えずに、同じ位置で誘い続けます。

電動スローでの巻き上げ

定点バイブレーションでは、リールは巻かずに、「ココ」と決めたタナで食い渋るタチウオにアピールしますが、バイブレーション釣法は少しずつタナを上げていきます。

巻き上げは、電動リールのスロー巻き。こちらも目安は、シーボーグ200Jで速度3、または4。

バイブレーション釣法は、タナがある程度絞れてからの釣り方になりますが、その絞った数mの間のタナを探る際に、巻き上げを入れてさらにアタリのタナを絞るとよいです。

そして、完全に絞れたら定点バイブレーション釣法へ。

これで食い渋り時も、リアクションバイトを含めてタチウオに口を使わせることができます。高活性時に手返しよく釣っていくのも名手のワザのひとつですが、食い渋り時にコンスタントに追加していく。このワザも備えておけば、高活性、低活性のどちらの場合にも対処でき、安定した釣果を上げることが可能になります。

タックル&仕かけ

当日の高槻氏のタックルは、ダイワの「極鋭タチウオテンヤSP91H-165AGS」と「シーボーグ200JL-DH」。

ロッド

シャクリ幅の小さなジャークでも、しっかりとテンヤを動かすことができる張りとパワーを備えた極鋭タチウオテンヤSP91H-165AGSは、大阪湾の深場攻略に最適なロッド。高槻氏は大阪湾では、ジャーク&スローでテンヤをキビキビと動かし、タナを探って活性の高いタチウオを掛けていく釣りを展開し、食い渋り時には得意のバイブレーション釣法を繰り出します。

テンヤをイメージ通りに動かしやすく、アクション時に操作しやすい165のショートレングスの91H調子は、「自分の釣りにピッタリのロッド」と言います。

そして、SMT(スーパーメタルトップ)とAGS(エアガイドシステム)を装備した軽量かつ高感度な性能。アタリが分かりやすいロッドは、アングラーにとって、とてつもなく大きなアドバンテージです。

リール

シーボーグ200JL-DHは、左巻きのダブルハンドル仕様。

電動スロー巻きの際には、超低速域でもしっかりと力強く等速で巻き上げてくれ、ジャーク&スロー、バイブレーション釣法、どちらの釣りも快適なモノにしてくれます。

また、バイブレーション釣法時に1/3や1/4回転の手巻きもしやすいダブルハンドルで、小刻みな巻き上げもバッチリです。

ラインキャパもPE2号を300m巻けるので、深場での高切れ時にも安心。軽量化も図られているので、誘いを頻繁に入れる釣りでも持ち重りが少なく、集中力が持続しやすいのもイイですね。

テンヤ

この日使用したのはダイワの新製品のタチウオテンヤ「快適船タチウオテンヤSS AG」。

フォールスピードとレスポンスのよさが抜群のタチウオテンヤです。

当日は100m以上の深場のポイントでは、ドラゴン狙いに絞って底周辺を念入りに狙った高槻氏。仕かけのフォール速度について「(快適船タチウオテンヤSS40)TGに迫るぐらいのフォールの速さですね」と、鉛タイプにしては異次元のフォールスピードを絶賛していました。

深場での高速落下は手返しを考えると、有利なポイント。深場攻略には手放せないアイテムです。

そして、高槻氏はカラーローテもマメ。朝イチは、大阪湾の定番と言われるグロー(ルミノーバグリーングロー)で狙い始めましたが、テンヤカラーをローテしていき、より好反応を見せるカラーを探っていました。

エサ

エサは、イワシエサとサンマエサを併用。

イワシ

サンマ

活性が高い時間帯にはエサ持ちのよいサンマエサで手返しよく釣り、朝イチや食い渋りが見えた時間帯にはイワシを使用して、効率よくタチウオを追加していました。

バラシを減らすテクニック

名手と呼ばれるアングラーたちは、掛けた魚を極力バラさずに取り込んでいきます。せっかく掛けた1尾、取り込むかバラすかで釣果は変わってきますよね。

タチウオは比較的バラシが多いターゲットですが、巻き上げ途中や取り込みでバラさない工夫を高槻氏は心掛けています。

同船したダイワスタッフの菊池氏に「高槻さんの釣りって、ホント丁寧ですよね~」との言葉を掛けられたように、横で見ていてもやり取り、取り込みは丁寧そのものです。

サイズや引き込みに合わせた巻き速度の加減速

そのひとつがやり取り。

電動リールで巻き上げますが、掛かった魚のサイズ、引き込みに合わせて巻き上げを止めたり、減速したり、竿でいなしたり。

巻き上げ中は竿をやや立て気味にしていますが、これは急に引き込まれた時に対処するため。

引き込めば、竿で付いていき、巻き上げ速度も落とします。

高槻氏は「JOGパワーレバーでワンハンド操作ができるシーボーグ200Jだから、この加減速がスムーズにできて、やり取りがとても楽」と言います。

掛けた1尾を確実に取り込みたい、その思いが込められたやり取りです。

取り込みは竿を置いて両手で

そして、取り込み時は竿を横に置いて、両手でハリスを手繰って抜き上げます。

竿で抜いたり、片手で抜くのではなく、両手をしっかり使って確実に、かつ安全に取り込む。

バラさない釣りは、釣果を伸ばすためには重要なテクニックのひとつになってきますね。

 

各個人には自分に合った釣りスタイルがあると思いますが、名手の釣り方を参考にするのもステップアップへの近道。

自分に合う部分だけを取り入れて、自己流に進化させていくのもアリですね。

ダイワ(DAIWA)

1958年の創業、リール、ロッド、ルアー、用品などあらゆる釣り物のフィッシングタックルを扱う総合ブランドとして、国内、海外に多くのファンを抱えている。ジャパンクオリティの品質の高いアイテムを日々開発、その過程で、世界初となるテクノロジーも数多く輩出している!

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