
大東哲也(おおひがしてつや) プロフィール
初夏の人気ターゲット「船キス」で、最適解の仕掛けを考察
軟体のシーズン到来!タコにイカに、大人気の釣り物が、いよいよ本格化してきました。
となればキモ的な話も軟体系で書こうかと思ったのですが、先日同僚が船キスに行ってきた話から、針の形状についての話になったので、その話を基にキス釣りの話をしていきたいと思います。
軟体系が過熱している裏で、ジワジワと人気になっているのが、「船キス」。
誰でもお手軽に釣れる魚ではありますが、腕の差がしっかりと釣果に出るので、テクニカル系の釣りが好きなアングラーがハマっているイメージです。
特有のプルプルッとした小気味よいアタリと、食味がたまらないので、「年に1回は行きたいなぁ」となります。1回行くと、「もっと釣りたいなぁ」となって、ドップリとハマる感じでしょうか?
私も原稿を書きながら、すでに次いつ行こうか?と、思っている次第です。
アタリはでるが、乗らず掛からない…。この、アタリはあっても全てが釣果にならない釣りというのは、タックルセッティングや針、仕掛けの細かな対応が、非常に重要です。
我々、針屋のアイテムを見ても、そういった魚種は数多くの針形状、仕掛け寸法が存在し、いかに釣り人を悩ませてきたのかが分かります。
キスも間違いなくその1つで、キス針だけで10種類を超えるアイテムが存在します。
色違いのアイテムを含めれば、さらに倍となりますが、アイテムが増えていく一端が、冒頭の船キス釣行からの針の話で垣間見えたので、少しやり取りを紹介します。
私「競技用と狐、どっちが掛かる? どっちも早掛けタイプよな?」
同僚A「どっちも掛かる」
私「何が違うん?」
同僚B「掛かる位置」 同僚C「手返し優先なら狐! 競技用は飲まれるから、好きではない!」
同僚A「狐、バレるやん!」
私「競技用型で針先カーブにしたらええやん!」
同僚C「それ、ジャストキスやな。でも細いから、手返しを優先するなら、もう1つ太いのが欲しい…」
同僚A「狐型でバレにくい形の針やったらエエんちゃうん?」
私「それやったら、あの針はどうよ?」
みたいな話で盛り上がり、最終的に「新しい針、いるよなぁ」となる訳なのです。
しかし商品化するには、ここからトレンドやニーズをマーケティングして、最終的に企画会議を経て、商品化となります。
日々、そんなことを繰り返しながら、新しい商品が生まれてくるのですが、今回はその話を踏まえて、実際どうなのか? を検証すべく、釣行&この記事に繋がります。
少し簡単に、キス針の代表的な形状と特徴を説明しておきます。
大きく分けて形状は3種類。
・流線型…キープ力が強い。エサ付けを優先した形状で、吸い込みにくい。
・狐型…吸い込みやすく、早掛かり。口先に掛かりやすいが、バレやすい。
・競技用型…吸い込みやすく早掛かり。針先が立ちやすく、喉奥で掛かるので、飲まれやすい。
では、実際どうなのか? 兵庫・姫路の知々丸の船キス便にて実証です。
前日はTOP60尾オーバーで、活性はよいのでは?ということで、狐型の針を使った太ハリス仕かけ「ストロング船キス 狐」でスタート。
しかし、アタリがあまりなく、アタっても乗らないか、外れる感じでした。
予想に反して、活性はあまり高くなさそうです。
ここで、競技用型の針を使った「阿部式キス競技用2本」に変更するも、しっくりこず。
さらに、ハリスを細く&針を小さくしましたが、スカッとハマらないので、変形型の狐形状「クリンチキス」を使用した、投げ釣り用の「マシーンキス3本ホタル仕込み」に変更して、釣果が安定しました。
竿の硬さや魚の活性なども考慮しなければなりませんが、針形状をかえることで、釣果が大きくかわってきますので、いろいろお試しいただければと思います。
使用アイテム
数あるキス釣り仕掛けの中でも、今回は「ストロング船キス 狐」を紹介します。
その名の通り、強い船キス仕掛けです。太い針、太いハリスで、手返しよく数を釣りたい状況に最適!
針は早掛けで、口先を捉えやすい狐型。もし飲まれても、太ハリス、太針なので、強く引っ張ればすぐに釣り再開が可能で、高活性時の数釣りの最強仕掛けです。
また、少しよい外道がまじるポイントでも、威力を発揮します。
7月、8月の最盛期に向けて最適な仕掛けとなっています。