紀北のタイラバゲームが熱い。
「関西の三大鯛の漁場」と呼ばれる加太のマダイに加え、淡路島と加太の中心部に位置する深場では「大阪湾の黒ダイヤ」と呼ばれるクログチが、南下すれば超高級魚のシロアマダイを、タイラバで狙うことができる。
「佐々木洋三と行くっ!ハマるっ鯛ラバ体験会」では50回を記念し、この高級魚をターゲットにした講習会を行なった。
11月中旬、海南の遊漁船KAISHINに6時集合。大阪市内から1時間で海南IC着、そこから3分で乗船場と、とてもアクセスがよい。
準備を整え、6時半に出船。まずは友ケ島南側の水深30m前後のシャローでマダイを狙った。
タイラバが初めての参加者の横について、着底の見極め、タッチ&ゴーなど、タイラバ釣りの基本を説明する。
ベテラン勢の釣りを見ていると小ダイのショートバイトはあるが、なかなか乗せきれない模様だ。
数日間安定した釣果が続いた漁場だけに多くの遊漁船が集結。小一時間ほど粘ったが、他船も釣り上げていないようで神田船長はいち早く漁場を変更。一気に80mの深場を目指した。これが大正解!
8時10分、常連メンバーの平山義彦氏が、シングルコブラカーリーのレッドゼブラで小ダイを釣り上げた。この1尾を皮切りに、マダイのラッシュが始まった。8時半、小西暁久氏が50cmを超える良型をゲット。
この体験会には、スポンサーの魚奏さんから、卸値1万7千円相当の生ズワイガニが提供されている。8時半に大物賞に王手と、船上は盛り上がった。ところが8時55分、この体験会を主催する仲みゆきさんが、59cmをやはりシングルコブラの赤ゼブラで釣り上げ、逆転。
9時9分、赤ゼブラで小西暁久氏が仲さんと同サイズのマダイをキャッチ。シーソーゲームに船上は大いに盛り上がる。9時10分、今度はミヨシの林純平氏が50cm前後の美味しそうなマダイをゲット。
「ここで粘れば、あと20尾はマダイが追加できますよ。全員安打も達成できるし…。クログチを狙うなら今、漁場をかえなければ」と船長。全員安打か、クログチか?究極の選択だ。
クログチと言う魚、鮮魚店でも見かけることは少ないが、紀淡海峡の水深100~200mに棲息するニベ科の魚。
「ノドグロ」と呼ばれるアカムツよろしく、ノドの奥が黒いからクログチだ。アカムツが「中深海のルビー」なら、クログチは「大阪湾の黒ダイヤ」と称される所以である。
潮流の速い紀淡海峡ゆえ、釣ることができるのは潮止まりの限られた時間帯、だから乱獲されることもない。エサ釣りでは魚の切り身か青イソメのチョン掛けだが、神田船長はタイラバでクログチを狙うメソッドを確立した。狙うなら今だ。
全員が130gのヘッドに統一。前日は1人で9尾のクログチを釣り上げたアングラーもいたと言うから、期待に胸が膨らむ。
ところが、前日とは打ってかわって強烈な二枚潮。同じ130gをセットしても、タングステンと鉛の違いでオマツリが多発する。全員が同時にヘッドを下ろすように心掛け、オマツリを防止する。
釣り方は、タイラバ釣りと同じである。ボトムを中心に攻めていると、10時ジャストに、伊庭央哲氏のロッドが絞り込まれた。見るからに、マダイの引きではない。丁寧に巻き上げ、仲みゆきさんのタモに納まったのは、40cmの丸々と太ったクログチだった。
二枚潮と戦いながら攻めること30分、再び伊庭央哲氏のロッドが絞り込まれ、クログチかと思いきや、50cmを超える丸々と肥えた大アコウだった。
二枚潮がキツく、釣りにくいので、「先ほどのマダイの漁場へ戻ろう」と船長。まだ、マダイの潮が残っているはずだ。後ろ髪を引かれる思いで、クログチの漁場を後にする。
10時42分、「タイラバ釣りは初めて」と言う中村徳司氏がゲット。11時2分、平山義彦氏と上田幸男氏が食べ頃のマダイを追加。
11時3分、沼田智行氏に40cm級のマダイ。11時10分、仲さんの42cmを筆頭に4人同時ヒットとラッシュが続いた。
11時22分、小西暁久氏、中村徳司氏に同時ヒット。小西氏は着実に数を伸ばす。11時半、仲みゆきさんに再びヒット。そして12時15分、この日最大の62cmの大ダイを、仲さんが掌中に収めた。
マダイが釣れ盛る中、「潮があるうちにシロアマダイの漁場へ移動しよう」と船長。水深20~40mの、底質が砂泥のポイントに到着した。
シロアマダイは砂の中に潜っている魚だ。ヘッドが砂泥にめり込んだら、スポンと抜き上げ、砂煙を立てるのがコツ。あとはハンドルを5、6回ほど早めに巻いて、ステイさせる。
ボトムから3~5mほどのレンジを探れば十分で、巻きのスピードはやや早めだ。マダイも狙うのであれば、止めを入れず等速で巻き続ける。
トモの沼田智行氏のロッドが引き込まれた。アマダイには特有のファイトがある。引っ手繰るような獰猛なアタリで、竿先がゴンゴンと絞り込まれ、巻き上げるうちに急に大人しくなる。
一瞬、バレたのではないかと心配になるが、宙層で再び暴れ出す。また、大人しくなって、最後に船縁でもうひと暴れ。3回ほど暴れるというのがアマダイのファイト。
その典型的なファイトで上がってきたのは、50cmは優に超えるシロアマダイだ。ネクタイは0.25mmの薄さのコブラカーリー赤ゼブラ。「潮がないので、薄いネクタイを選択」したと言う。
そして、そろそろ帰港というラスト流しに、伊庭央哲氏のロッドが海面に突き刺さった。「途中でバレたかも」と言うが、これも典型的なアマダイのファイトだ。上がってきたのは40cm半ばのシロアマダイだった。
この日の大物賞は仲みゆきさんが辞退。マダイ2位の小西暁久氏とシロアマダイ1位の沼田智行氏がジャンケンで決戦。生ズワイガニは沼田氏へ渡った。
マダイのみならず、クログチ、シロアマダイ、アコウと高級魚が狙える、海南沖のタイラバ。チャレンジする価値がありますぞ!
筆者のタックル
基本的にマダイ狙いと同じ。ドスンと落として砂煙を上げるため、水深30~70mでも100~120gの重いヘッドを使用する。ロッドはMクラス。PEは0.8~1号を推奨。フックにワームを刺すのも有効だ。
■ベイトタックル①
ロッド:炎月リミテッド FS-B66M
リール:オシアコンクエスト200PG
ライン:PE タナトル8・0.6号
リーダー:フロロカーボンリーダー2.5号(4m)
■ベイトタックル②
ロッド:炎月リミテッドNーB610M-S
リール:オシアコンクエストCT200PGライン:PE タナトル8・0.8号
リーダー:フロロカーボンリーダー3号(4m)
フック:喰わせ鈎/バーブレス 8、10、12、14号
アシストフック:喰わせ鈎/1本鈎仕様、鯛ラバPEアシストフック「佐々木流IPPON勝負」バーブレスM、L
タイラバヘッド:炎月 ヒューストンバクバクTGヘッド 60、75、90g、炎月 ドテラバクバク80、100、120、150g、炎月 タイガーバクバク60、80、100、120、150、200g
タイラバネクタイ:シングルコブラカーリー、ビッグボス、コブラカーリー、コブラ・スリムカーリー、トラッドピンテール