【九頭竜川サクラマス】幻は実在しました。師匠と歩いた「震える1分間」の記憶

福井県・九頭竜川のサクラマス。アングラーなら誰もが一度は憧れ、その難攻不落さに畏怖の念を抱く「幻の魚」ですね。 2月1日の解禁日、大雪の中で玉砕した記者は、敗北感よりも「もう一度あの流れに立ちたい」という奇妙な高揚感に包まれていました。

そんな折、一本の連絡が入ります。 「サクラマス、連れてってや」その主は、エギング界のカリスマであり、記者のアユ釣りの師匠でもある重見典宏さんでした。

「重見さんにサクラマスのイメージ……?」と思われる読者の方も多いかもしれません。ですが実は重見さん、20年以上前に九頭竜川でサクラマスを手にし、その後も北陸の河川を毎年行脚してはキャッチし続けている、隠れた「サクラマスの手練れ」なのです。

解禁から2週間が経った2月14日、15日。最強の助っ人を伴い、記者のリベンジマッチが始まりました。

レジェンドが説く「サクラマスを振り向かせる」流儀

まずは福井市内のショップ「フィッシングポイント」さんで日券を購入し、情報をアップデートします。店長に推奨された「新幹線下」のポイントへ向かいました。 解禁以降、好調が伝えられる超人気ポイントです。足場を見定め、重見さんのレクチャーが始まりました。

「あの流れの変化、モワモワしてるところが狙い目や。アップ気味に投げて、そこを通過させるイメージでやってみて」

重見さんの教えは極めて実践的です。 「3投したらルアーか色を変えるか、ジャークを入れるか。何かしら変化をつけなあかん。ずっと同じことをしててもヒットはせんから、時間を空けて入り直すのもありやで」

この日は気温15度の小春日和。上流から下流まで歩きましたが、なかなか魚からの反応はありません。しかし、現場には確かな「答え」がありました。 なんと、3日前にこの場所でサクラマスを仕留めたという中学3年生のアングラーに遭遇したのです。さらにお父さんも今年既にキャッチしているとのこと。 「居る。間違いなく、そこに居る」。現場で交わす生の言葉が、記者の心に火を灯してくれました。

夜は福井駅前で焼き鯖寿司やそばなど、福井の幸も満喫

衝撃の時合は「上げ2分から5分」

翌15日は、上流の「高速下」へ入りました。 そこで再会したのは、九頭竜川を熟知する漁協監視員の青木さんです。彼から放たれた言葉に、記者は衝撃を受けました。

「サクラマスの時合は、上げ2分から5分やね」

最近の傾向では、11時から14時にヒットが集中しているそうです。この「具体的な時間軸」という指針を得たことで、集中力は高まります。

さらに、思わぬ「ノット講習会」も開催されました。 リーダーの傷に気づいた記者がゲームベストを漁るも、リーダーを車に忘れるという失態。重見さんにリーダーを分けてもらうと、「めっちゃ強いノットを教えたるから、組む練習をしなさい」と愛のムチが飛びます。 互いに引っ張り合い、切れたらやり直し。完璧な強度のノットが完成した時、タックルへの不安は消え、あとは「その時」を待つだけとなりました。

記者の使用ルアー

突如訪れた「一生忘れない1分間」

運命の11時頃でした。 対岸の浅瀬へフルキャストし、ルアーが着底した直後、手元に「コン!」という明確な信号が伝わりました。

「根掛かり……?」と思った瞬間、ラインが猛烈に走り出します。 横で見ていた重見さんが叫びました。「釣れとるんちゃうんか!」

ドラグが悲鳴を上げ、下流へ突き進むそのパワーは、まるでマグロのようです。 「どうしたらいいですか!?」とパニックになる記者に、「とりあえず走らせとけ!」と重見さんの力強い声が響きます。その時、銀色の巨体が水面を割ってジャンプしました。

「60cmは楽勝であるぞ!」

重見さんの言葉に歓喜しつつも、あまりの迫力に恐怖さえ感じます。しかし、残酷な瞬間は突然訪れました。 フッと消えたテンション。 「バレた……」

ヒットからわずか1分。手は震え、足に力が入らず、記者はその場に座り込んでしまいました。 これが「九頭竜川の洗礼」なのでしょうか。

ヒットしたルアーはシュガー2/3ディープSG 92Fの2026年NEWカラー

幻が「目標」に変わった日

その後、タイムアップまで3時間ほどロッドを振り続けましたが、二度目の奇跡は起きませんでした。 しかし、あの1分間の光景は、今も脳裏に焼き付いて離れません。

「幻の魚」は、確かにそこにいました。 そして、その強烈な引きと美しさは、ひとりの釣り人を狂わせるのに十分すぎるほどの魔力を持っていました。

そして、師匠は「敗因はちゃんとフッキングできてなかったこと。竿もシーバス用は硬いから、トラウト用にした方がええよ。そしたら、次はランディングまでいける。けど、そこでバラして悔しい思いをして、その次に釣れるわ」と的確なアドバイスをくれました(笑)。

私のサクラマスへの挑戦は、まだまだ続きます。 震えるほどの感動を求めて、またあの流れに立つ日が、今から待ち遠しくてなりません。

ランキング

釣り場・釣り船の情報をまるっとチェック!