アマダイのディギング釣法ってご存知でしょうか。アマダイの縄張り意識を刺激してエサを食わせるアプローチで、なかなか興味深い釣りでもあります。
そんなディギングの基本的な釣り方を、ディギングの第一人者である阿部俊明さんの釣り方をもとにまとめてみました。

サニー商事の阿部俊明さん
縄張り意識を利用したディギングの仕組み
ディギングは「dig」、つまり「掘る」が由来。使用する仕掛けの仕組み自体は、一般的な片テンビンを使った吹き流し仕掛けと大きな違いはない。オモリに特徴があり、このオモリのアクションが「dig」を表現してくれる。
使用するオモリはディグシンカー。

これがディグシンカー。上がブラックシルエットで、こちらはカレイ狙いなどに効果的。下がアマダイ狙いに効果的なアマダイピンク
まず簡単に釣りの仕組みを説明すると、仕掛けが着底後、ディグシンカーで底を叩いて煙幕をあげる。ディグシンカーは底を叩くと、地面を掘るように煙幕をあげる形状になっている。そうするとアマダイが「なんだ?なんだ?」と寄ってくるワケだ。
アマダイは普段は巣穴に潜って生活しており、また、非常に縄張り意識の強い魚。自分の巣穴に入ってこようとすると追い払おうと出てくる。つまり、この煙幕は「なんか自分の巣穴の近くに侵入者がいるぞ」とアマダイに思わせる誘いになるのだ。
ディギングの釣り方
さて、具体的な釣り方は以下の通り。
①仕掛けを底まで下ろす
②着底後糸フケを取る
③オモリが底に着いた状態で、竿の穂先から穂持ち辺りで力強く小さくシャクる→オモリ着底を10~15回繰り返す
※シャクリ→オモリを再度底に着ける→シャクリとリズミカルに10~15回
④底を掘って発生させた煙幕にサシエを入れるため、ゆっくりと竿で大きく誘い上げる
⑤斜め45度程度まで誘い上げたら数秒ステイさせてアタリを待つ
⑥アタらなければ、ゆっくりとラインテンションを保ったまま誘い下げていく
以上が一連の流れで、アタリがなければ再びタタキから繰り返す。

穂持ちから穂先でリズミカルに10~15回ほど小突く

煙幕に付けエサを入れるように、スーっと竿いっぱい持ち上げる
リアクションで食う時やエサ取りが少ない時は、タタく回数を多めにしてシャクリも力強く仕掛けを跳ねさせるイメージで、エサ取りが多い時はタタく回数は少なめでシャクリもスローにソフトにする。底潮が流れている時は聞き上げずに、底を小突き続けてアタリを引き出すパターンもある。
ディギングアイテム
さて、ではなぜディグシンカーがこの釣りに向くかというと、砂地を掘り起こしやすい形状であることが挙げられる。シンカーのテール部分にはスコップが付いていて、これがより煙幕を発生しやすくしてくれる。

ディグシンカーのテールにあるスコップ

タタキを入れた際にスコップが底を掘ってくれる
また、アマダイをイメージしたカラーとシルエット(アマダイピンク)は、縄張り意識の強いアマダイに、ほかのアマダイが侵入してきたと思わせるにも役立っている。
この釣りによりベターな片テンビンもご紹介。それが「ハイブリッド天秤直」と「ハイブリッド天秤弓」だ。

上がハイブリッド天秤弓で、下がハイブリッド天秤直
どちらも形状記憶とステンレスがアームで一体化した片テンビン。柔軟性と張りのある形状記憶部分がシャクった時にサシエを跳ねるエビのように演出することも可能。直、弓の2タイプで、「直」はアタリがダイレクトに伝わるので誘い上げて食わせる時に有効。「弓」は湾曲部でやや間ができるのでフォールや食わせスタイルの釣りにオススメ。
今回実釣したのは、京都府宮津・養老大島の新幸丸。同エリアでバツグンのアマダイ釣果を誇り、ポイント開拓にも余念がない宮立建司船長が操船する。普通ならそこまで釣れる魚種ではないが、アッと驚くような釣果をもたらしてくれる船長で、船も大型快適。ぜひぜひ足を運んでみてください。

新幸丸・宮立建司船長
※この記事は週刊釣場速報10月26日発売号に掲載されたものを再編集したものです