釣れた? 引っ掛けた? 何だかもやっとするエピソードです

寄稿:トモチン

トモチン プロフィール

自称「シンガーソングライダー」歌って走れるアーティスト。 飲料メーカー「サンガリア」でおなじみの歌「イチ、ニ~、サンガリア♪」のサウンドロゴを歌う(2003年~)。 地上波バイクTV「Like a wind」MCとしてレギュラー出演中。 週刊釣場速報にて「トモチンのおさかな珍喜劇」を執筆中。

初めて釣った魚の感動を、皆さんは覚えているだろうか?

私のロストバージンの魚は、シーバスだった。

何度も通い、ゲットした最初の1尾は、そんなに大きくはなかったが、生命感も嬉しさも大きすぎた。

持ち帰り、両親に食べてもらったことを覚えている。今だったら、絶対にリリースする場所のシーバスだが…。

そんな私も、いろんな釣りに挑戦させていただくことが、ありがたくも増えた。

初魚種はやっぱり嬉しい♪ 最近は、エギングを始めたのだが、ティップランで釣ったアオリイカとはまた全然違う、1パイの重みと、嬉しさと、感動がある。

エギング中に起きた事件

そして、事件はエギングの最中に起きた。

ポイントに入ると、中学生ぐらいの少年が、1人でエギングをしていた。どうやら、まだ釣れていないようだ。

すると、どんぶらこ~どんぶらこ~と、魚が1尾現れた。メジロだ。

泳いで…いや、流されてきたのだ。完全に浮いている。残念ながら、死んでいたが、時間はそんなに経っていないのであろう。見るからに鮮度がよかった。

私は、エギングをしながら横目で少年のやりとりを見守ることに。

なかなか刺さらず…

少年は、エギでメジロを引っ掛けようとした。何度もチャレンジするも、カンナがうまく刺さらない。あぁ~、もどかしい。

そして、少年はエギをジグに付けかえた。いいぞっ! 浮いたメジロを目掛け、何度もジグを投げる。すると、とうとう刺さった!

静かに巻き上げ、足場の低い所から、無事に引にずり上げることができた。その一部始終を見ていた人たちは、私も込みで、何だか温かい気持ちになり「やったやん!おめでとう!」と言った。

私の仲間が冗談で「よく引いたか?」って聞くと「よう引いた!」と答える少年。ここまでは、微笑ましくて、何だかよかった。

釣れた? 引っ掛けた?

すると、少し落ち着いた少年は、「釣ったことにしよう」と呟いた。完全に、心の声が漏れていたのだ。キラキラした瞳が、悪い顔になっていた。

「えぇ~!? 少年よ、それは釣ったとは言わないんやで。引っ掛けたんやで。しかも死んでるメジロやで~」。そんなことは言えず、心の声を私は全部飲み込んだ。

少年は親に電話を始めた。「もしもし、僕、メジロ釣った! すごいやろ! 持って帰るわ~」。

もう、完全に自分で釣った話になっていた。晩ご飯でメジロを囲み、少年の盛られた武勇伝が繰り広げられるのであろう。そんなことが気になる私は、小さいのだろうか。

しかし、ハマればハマるほど釣りの世界はシビアである。改めて、釣果を盛ったり、サイズのサバを読まないように気を付けようと思った、23歳!? 釣りガールの、トモチンでした。

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