2020年のタイラバシーズンも終盤戦。
この時期の紅葉ダイは脂が乗り、身は桜ダイより美味。
食通は春先の「旬」に対して、「裏旬」と呼び、釣り人の特権の新鮮極上の酒肴を楽しむ。
ところが、このところ「チャリコ」と呼ばれる幼魚ばかりで、サイズアップが果たせないアングラーも少なくない。
ちなみに、チャリコとは当歳から2歳まで、あるいは20cm未満のものを指す。
我々の仲間内では小型のマダイが釣れ続くと「チャリコハンター」と称され、たまに40cmオーバーが釣れても「チャリコ大」呼ばれる始末だ。
今回は瀬戸内海を中心とする漁場で、チャリコハンターから脱出するための裏技を解説しよう。
ベイトを見極めろ!
吹く風も冷たくなると、マダイの活性は低いと思い込み、ボトム中心に攻めるアングラーも少なくない。
ピックアップしたタイラバを掴むと意外に温かく、前回で解説した通り、この時期、海底の水温は海面よりも高く、マダイの活性も高い。
マダイが捕食するベイトを見極め、そのベイトに即した攻略法が紅葉ダイ狙いの肝となる。
この季節は、イワシを追って宙層にサスペンドしているマダイも少なくなく、水深60mならば20mまでやや早巻きで、水深の2/3は巻き上げたい。
こんな上でと思うような宙層で、大ダイがアタってくる。
イワシがベイトの場合は、グリーンやゼブラのネクタイの方がよくアタる。
また、セロハンを細く切ったようなティンセルを挟むと、その怪しい光り具合が功を奏するのか、大型のマダイはよく反応するようだ。
ベイトの見極めは、まず探見丸(魚群探知機)だ。
宙層にイワシのベイトボールが映る時、その下にマダイらしき反応がある時は間違いない。
あるいは、釣り上げたマダイがオイルサーディン缶の油ような脂ぎった茶色の糞を垂らす時は、イワシを捕食している。
甲殻類を食べている時は、貝殻の破片のようなザラザラした糞を出すので、こうしたことを注意深く観察することで、捕食しているベイトを確認することもできる。
甲殻類を捕食している時は、ボトム中心の攻め方となる。
イイダコはマダイの好物であり、集魚ネクタイの「炎月イイダコベイビー」などに釣果が集中することもあるので、忘れずに用意しよう。
この場合は、ボトムから7、8m巻き上げてはフォールさせるという小刻みな釣り方となる。
炎月プレミアムや炎月CTのようなフォールレバーが装着されたリールなら、レバーを活用し、スローでタイラバをフォールさせるのも有効。
この季節に試してもらいたいメソッドだ。
細・短ネクタイはNG
香川、兵庫、大阪、和歌山の傾向は、ラバースカートは全て外して、細身で短いカーリーネクタイだけをセットするのが主流となっている。
確かに食い渋った時は細身・短小ネクタイがよくアタるが、このセッティングにはチャリコが多くヒットするのも事実。
目的が大型の紅葉ダイなら、やはりラバーは外し、やや幅広でしっかり波動を出すネクタイを使用すべきである。
大型魚はエネルギー効率を考えて行動する。
同じエサを追うのでも、少しでも高カロリーでボリュームの大きいエサを捕食する傾向にある。
だから、幅広でボリュームのあるネクタイが大ダイ狙いには有利だ。
高松庵治港のセブンゴッドの卯目船長は「小ダイの数釣りよりも、思い出に残るマダイ釣って欲しい。そのためには、もう少し大きなネクタイを付けないとダメ」とアドバイスしている。
私のセッティングは、炎月「メビウスカーリー」の1本掛けにティンセルをセットしたもの、イワシに付いたマダイには炎月「ストレート」のグリーンにティンセルをセットしたもの、あるいは手作りのピンテールネクタイをよく使用する。
1本針仕様!
タイラバにマダイが反応するのは、ヘッドに当たる水流が反転流となり、ネクタイをなびかせてマダイが関心を示す波動を発生させるからだ。
タイラバ専用フックを開発している最中のテストで分かったのだが、マダイの活性の低い時ほど、1本針の方がマダイのアタリが多かった。
2本針はネクタイの動きを阻害し、マダイを誘う波動が十分に出ていないのである。
鳴門のタイラバ漁師が1本針を使用しているのも、その根拠と私は考えている。
また、フッキングのパワーも2本針だと1本当たり50%に半減する。ネクタイの動きを阻害しない小型で軽量なフックを使用し、針を確実に口の中に吸い込ませよう。
アシストラインは柔らかいPEラインが好ましい。
ちなみに私のアシストはPE3~4号を3~4cm。
ネムッた形状の針がマダイの唇を確実に縫い刺してくれる。
私が監修した金龍鉤のタイラバ専用アシストフック「喰わせ鈎」の6~10号をオススメしたい。