【冬のタイラバのポイント!】海水温に要注意!

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

12月にもなるとシベリア寒気団が南下し、いよいよ冬本番。

海水温の低下とともにマダイの活性も下がり、タイラバ釣りも少々手強い季節に入ってきた。

そんな中で開催された「佐々木洋三と行く第4回ハマるっ!鯛釣りin 明石」には、入門者からスキルアップを目指す経験者まで12人が参加し、金龍鉤、シマノ、イチバンエイトグループの協力のもと、シマノの

最新タイラバタックルでタイラバを体験いただいた。

今回、私が目指したのは厳冬期のマダイをいかに攻略するか。

厳しい冬のパターンを佐々木洋三が解説!

■越冬マダイ

海水温の低下とともに、マダイは深場に移動する

丹後半島であれば白石グリ沖の水深100mを超える海域に、越冬の居付き場所がある。

大阪湾では紀淡海峡や鳴門海峡を通って、海水温の高い紀伊水道へと南下する。

先日、白浜沖のラングイでジギングでアカムツを狙っていた船長から電話があり、「260mの中深海でジグにマダイが食ってきた」と言う。

そんな深場までマダイが落ちていた、という事実に正直私も驚いた。

そんな深場に落ちるマダイがいる一方で、瀬戸内海の浅場に居残るマダイも存在する

小豆島南東端の大角鼻は、水深がわずか50m前後

そんな浅場に厳冬期にも関わらずマダイが居付き、多くの遊漁船がサビキ仕かけでマダイを釣り上げているのだ。

上り潮がよく当たる地形で、アミエビなどのエサが豊富に流れてくる場所だからであろう。

「ここに居付くマダイは、養殖マダイが台風などで逃げ出し、野生化して繁殖したものでないか」と語る漁師もいる。

その証拠に昔から明石、鳴門、加太というマダイの3大漁場は語られても、小豆島や高松方面の漁場が関西で喧伝されることはあまりない。

このように天然物と、養殖から野生化したマダイが混在することも冬季の行動パターンを分かりにくくしているのかもしれない。

■厳冬パターンを読み解く

冬季のマダイ釣りに、これといった単純な決め手やパターンは存在しない。

複合要因を読み解き、粘り強く攻略するしかないのだ。

ここでは分かりやすくするために、「海水温」と「エサ(ベイト)」という切り口で考えたい。

①海水温

海水温はマダイの活性のバロメータ、本来であれば、マダイが棲息する海底の水温で判断すべきだが、それを把握できないので、海水面の水温を参考にしたい。

一般に、12度を下回るとマダイの活性は著しく低下すると言われる。

さらに10度を下回ると、ほとんどタイラバを追いかけなくなる

その水温になるのは、大阪湾では1月中旬以降だ

目の前に落ちてくるモノには反応を示すものの、タイラバを追い掛けるほどの元気はない。

だから、フワーッと落ちてくるサビキ仕かけには反応するものの、タイラバには口を使わないのである。

また、前日に9度だった海水温が10度に上がれば、マダイは口を使うこともあるし、12度あった海水温が11度に下がると口を使わないこともある。

絶対温度だけではなく相対温度、つまり海水温の変化に注意を払う必要もある。

12月に小豆島西沖のわずか6mの浅場で60cmを筆頭に3尾のマダイを釣り上げた経験もある。

陽が差し、少しでも暖かい場所にマダイが集まったのではと思われる。

②エサ(ベイト)

第2の視点はベイト。食べているエサに応じて巻き速度がかわるので、何を捕食しているかを見極めることが大切だ。

この季節は、1イワシやイカナゴ、2アミエビ、3甲殻類、4海苔が主なエサとなっている。

1…イワシやイカナゴを追う時は、比較的活性が高いパターンだ。

厳冬期と言えども、比較的速めスピードで、水深の2/3までは巻き上げよう。

かなり上まで追ってきてアタるのが特徴である。

2…難しいのはアミエビに付いているパターン。

釣り上げたマダイの口の中からは、溢れんばかりのアミエビが出てくることもある。

アミエビが流れているタナを探り当てるのが難しいので、スロー&ステディ、すなわち、ゆっくりと等速巻きで、水深の80%までは巻く

水深50mならば40mは巻こう

この時期、ゆっくり追い掛けてきたマダイが上の方でバイトすることもある。

しぶとく巻き続けることができるか否かで、釣果が分かれる。

アミエビパターンの場合は、アミエビカラーの細身カーリータイプのシリコンネクタイが有利

合わせて、ヘッドが遊動式のモノを使用すると、巻き上げたタイラバがフォールする時にヘッドとネクタイが離れ、その瞬間に食い付くこともよくある

だから、フォールの時も気を抜かないことが大切だ。

3…甲殻類についてはこれまで何回も解説してきたが、海底の甲殻類をついばんでいるので、タイラバが着底したら、ハンドルを6、7回巻いては落とすを繰り返す

目の前で頻繁にフォールを繰り返すタイラバに、マダイがリアクションで食う感じもある。

要するに宙層まで巻き上げないことだ。

バチなどを捕食している場合、シリコンネクタイのゼブラ模様が好調だ。

ベースはレッドやオレンジ色だ。

イイダコを捕食している場合は、イイダコベイビーも手放せない。

4…さて、4つ目の厳冬期のパターンは海苔を食べている場合。

海苔はマダイの大好物

だから、海苔養殖の漁師はマダイの放流を嫌がる。

海苔漁をしている海苔ヒビの潮シモで、流れてくる海苔を捕食していることが多く、こうした場所で、幅広の黒いネクタイを漂わすようにゆっくり引いてマダイが釣れ盛ったこともあった。

とにかく海水温の推移を意識し、エサとなるベイトを探り当て、ボトムを攻めるのか、水深の80%を巻き切るのか、粘りと忍耐の釣りになる

手強い冬季のタイラバをマスターできれば、自信が付くし、かなりのスキルアップにつながること間違いなし!

なお、「第5回鯛ラバ体験会」は3月末―4月上旬の桜ダイを狙う予定。

コロナが猛威を振るっていますが、健康に気を付けてください。

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