近年の大阪湾のテンヤタチウオシーンでは、釣れるサイズが指幅2.5~3本と比較的小型が多い印象だ。
そんな大阪湾をホームに活動しているのが、シマノフィールドテスターで、第6回大阪湾タチウオKINGバトル(以下TKB)の優勝者の吉田 昇平氏。
TKBでは昨年の2022年より、準決勝以降はタチウオの長寸で競うルールが追加されたため、吉田氏は勝ち抜くために大阪湾で大型を狙う釣法を研究したという。
今回は、吉田氏が大阪湾で編み出したドラゴン釣法のメソッドを、初場所である遠州灘で実践。
果たして、遠州灘のタチウオには大阪湾のドラゴンメソッドは通用するのか?
小型を大型に入れ替える“魔法のような”釣法
吉田氏が実践したのは、小型のタチウオを大型に入れ替える釣法。
まずは、どのような釣り方なのか? というトコロを解説していこう。
まずは、探見丸に移っている1番魚影の濃いタナより、下のタナで初期アタリを出す。
初期アタリの出し方は自由で、ストップ&ゴーでもよし、バイブレーションでもよい。
重要なのは、初期アタリを出した後に、そのタチウオを掛けてしまわないことだと吉田氏は言う。
テンヤを加えたタチウオを掛けてしまわないように、1番魚影の濃いタナまで連れてくる。
このとき、リーリングではなく、ロッドをさびきながらロッドワークを駆使するのがポイント。そうすることで、タチウオがくわえているモタレ感・または離したことを分かりやすくしているという。これをリールで行ってしまうと、加減が分からずテンヤを逃がしすぎてしまうことがあるようだ。
ロッドをさびくスピードは、タチウオがテンヤを離さず追ってくれる限界のスピード。遠州灘では1秒間で1.5~2mほど上げてきていた。
そのうち、一気にロッドを引き込むような本アタリが出たら、それが良型のタチウオに入れ替わった瞬間。
その時に、間髪入れずにアワセを入れて、掛けていく。
この釣り方で釣れる魚は、やはり型がよい。遠州灘でもこの入れ替え釣法がパターンにハマり、この日最大の指幅7本の正真正銘“ドラゴン”を釣り上げて見せた。
ロッド感度がキー
この釣法は、アタリを弾きすぎず、かといってオートマチックに掛けてしまうと成立しない釣りなので、ロッドの調子は8:2調子がオススメなんだとか。
そして、小型のアタリを感じ取り、掛けないように絶妙なタチウオの動きに追従できるようにロッドに求められる感度も必然的に高くなってくる。
吉田氏がこの釣法で愛用していたのは「サーベルマスター リミテッド 82MH180」に、「フォースマスター200DH」の組み合わせ。
「サーベルマスター リミテッド」にしか採用することが許されていない、高弾性ブランクスが受け取った情報を、ハイレゾタイプの高感度カーボンモノコックグリップが、体に触れている箇所全てに伝達する。
この感度の高さが、入れ替え釣法の成功率を高めているのだ。
テンヤはサーベルマスター 船テンヤを使用
シマノのテンヤには、オーソドックスな「サーベルマスター 船テンヤ」と、掛けるスタイルに向いている「サーベルマスター 船テンヤβ(以下β)」の2つがあるが、この釣法には「サーベルマスター 船テンヤ」が向いている。
理由としては、βはテンヤのフックが尻下がりの形状となっているため、意図せず小型が掛かってしまうため。また、「サーベルマスター船テンヤ」は水平姿勢なのでバイトのストライクゾーンが広くなり、大型が掛かる場所を確保できるから。
大阪湾のメソッドがほかのエリアでも通用することを確信
吉田氏は遠州灘で入れ替え釣法を実践し、平均サイズ幅指4.5本の良型ばかりを釣り上げて見せた。
「やっぱり入れ替わるっすわ!」
と、大阪湾のメソッドがほかのエリアでも通用することを確信している様子だった。
このように、ドラゴン釣法のメソッドはほかのエリアでも活躍することがあるため、様々な引き出しを持っておくことが重要。
前回紹介した、シマノインストラクターの富所 潤氏のドラゴン釣法「バイブレーション釣法」の記事も、参考にしてみてほしい。
ロッド:サーベルマスター リミテッド 82MH180
リール:フォースマスター200DH
ライン:タナトル8 1.5号
テンヤ:サーベルマスター船テンヤ60号