大型マダイ、アマダイ、根魚etc.魅惑のフィールド「土佐湾」について

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

タイラバにおける土佐湾のアレコレ

私が初めて土佐湾でタイラバ釣りをしたのは2014年7月下旬、かれこれ10年も昔のことだ。黒潮が当たる土佐湾は、マハタをはじめとする高級根魚の宝庫。

当時は根魚狙いの外道にマダイが釣れる程度で、マダイを専門に狙う釣り船も少なかった。

果たして、土佐の海でタイラバゲームが成立するのかを、確かめに行ったのである。

安芸キャンプ

高知の海に詳しいフィッシングハヤシさんに伺うと、阪神タイガースのキャンプ地として名高い安芸の遊漁船、神栄丸(松田直実船長)が何と、98cm・10kgのマダイを釣り上げていると言う。

早速、出向いた私を待ち受けていたのは、70cmを超えるマダイの連発。そして、20分を超えるファイトの末にラインを100mも引き出し、PEラインをブチ切った「巨鯛」の存在だった。

何と言っても、コバルトブルーの黒潮を割って浮かび上がる朱色のマダイの美しさと言ったら、筆舌に尽くし難い。

それから、筆者の安芸キャンプが始まる。大ダイ狙いの夢は覚めやらず、さらに高知市の西側海域、須崎沖まで足を伸ばすようになった。

シロアマダイの聖地・須崎沖

須崎沖はマダイに加え、高級魚のシロアマダイの宝庫だ。釣友の黒笹慈幾氏が、水深70mラインで70cmを超える立派なシロアマダイを釣り上げて話題になった。

それも、てっきり大型アマダイと思い込み、後からシロアマダイと気付いた、という後日談。

ちなみに、日本で獲れるアマダイには3種あって、市場価値が高いのはシロアマダイ、アカアマダイ、キアマダイの順。一方、棲息する水深は値段に反比例し、キアマダイが200~300mと深く、次にアカアマダイ、最も浅いのがシロアマダイだ。

先日も、黒笹氏1人で7尾のシロアマダイを釣り上げた、との連絡をいただいた。

また、須崎には9月初旬しか食すことのできない、大好物のメジカ新子の刺し身がある。コロナ禍も一段落したので、9月8日に久々に須崎へ車を走らせた。大阪から約4時間の道のりだ。

8時、須崎市観光漁業センター前の桟橋に集合。松田健船長が操船するエンジョイクルー号に、高知や須崎の釣友と乗り込んだ。

シロアマダイの好漁場、興津埼の沖まで小一時間ほど走り、9時半にスタートフィッシング。水深は90m前後だった。

土佐湾は「下り潮」を釣れ

土佐湾の潮は、満ち潮潮、引き潮と言った潮汐よりも、黒潮の影響が大きい。

黒潮が室戸岬にぶつかり、反転して足摺岬方向に流れる下り潮が1番釣れる潮だと、以前、安芸の松田直実船長に教えていただいた。

松田健船長は風速、風向を見極め、①スパンカーを張って船を立てる、②パラシュートアンカーで船を潮に同調させる、③全員が片舷で釣るドテラ釣り、を使い分け、広く漁場を探る。

ポイントに到着し、潮を見るため、まずドテラ流しからスタート。しかし、風が強く、仕かけが流され過ぎるので、パラシュートアンカーを投入した。

タイラバは少し重めの120gをセットし、ネクタイは赤色のカーリータイプを選んだ。パラシュートアンカーが潮に馴染むと、すかさずアタリ。9時51分、黒笹氏のロッドが曲がる。上がってきたのは美味しそうなイトヨリだった。

間髪を入れず、9時53分には紅一点、須崎の和田香さんの竿がしなった。これは良型のレンコダイ。

実は和田さん、華奢な体型ながらも凄腕アングラー。先日、須崎沖でスロージギング中にヒットしたシロカワカジキを、わずか30分で釣り上げた。しかも50kg超えをPE2号でキャッチ。高知新聞にも大きく掲載されたと言うから驚いた。

港から目と鼻の先で、こんなカジキがヒットするというのも、豊穣な土佐湾の魅力だろう。

10時5分、今度は筆者に小さなアタリ。魚が乗るのを待って合わせると、これもレンコダイ。

「おかしいな」と松田船長。「レンコダイが釣れるのだから、底潮は動いているはず。先日はこのポイントだけでシロアマダイが7尾も釣れたのに」と、ぼやく。

ポイント移動を繰り返し、見事シロアマダイがヒット

パラシュートアンカーを回収しては、ポイント移動を繰り返す。そして、11時5分、志和沖の水深70mで、豊後彰彦氏のロッドが大きく引き込まれた。

重量感のある引きを、いなしながら上がってきたのは、見事なシロアマダイ。船中で歓声が上がった。ネクタイはササラボ、ストレートのレッドゼブラだった。

11時25分、同じポイントで、今度は松田船長が立派なイトヨリ。11時32分、豊後氏がアコウを、和田さんがイトヨリを追加した。旨い魚のオンパレードである。

「佐々木さん、いつもは、こんなものじゃないんですよ。シロアマダイがもっとアタるんですけど、今日は潮が悪いのかなぁ」と船長。

「マダイはどうなんですか」と伺うと、「黒潮の大蛇行の影響か、最近はパッとしないですが、ちょっとマダイポイントに行ってみましょう」と言う。

「イマジ」と呼ばれる水深65mのポイント。ドテラ流しでもPEラインは垂直に立つので、ヘッドを60gに変更した。ネクタイはシングルカーリーのレッドゼブラ。

すると、穂先が震えるような前アタリに続き、ロッドは大きく引き込まれた。手応えは紛れもなくマダイだ。しかも、まずまずのサイズである。

ところが、次の瞬間に痛恨のフックアウト。今度は、左隣の黒笹氏のロッドが引き込まれた。これも明らかにマダイ。存分に引きを楽しみ、誇らしげに釣り上げたのは50cm前後のマダイだった。

須崎沖は真冬のタイラバポイントとして絶好

須崎沖は真冬の季節風にめっぽう強く、北西風が吹き荒れて瀬戸内海では出船中止でも、四国山地が風を遮り、海は穏やか。しかも黒潮の影響で水温は高く、魚の活性も高い。真冬のタイラバポイントとしても、魅惑の漁場だ。

須崎市長は、豊かな土佐湾や河川の資源、美味しいグルメを発信し、釣り人に優しい「『釣りバカ』シティプロジェクト」を立ち上げた。近々、市長は「釣りバカシティ宣言」の発表会見を行うと言う。

出典:須崎市HP

大ダイを求め、安芸キャンプからスタートした私の土佐湾通いだが、阪神タイガースの優勝にあやかり、今冬こそ、悲願の大ダイ100cm超えを達成したいものである。

筆者のタックル

電動タックル
ロッド:炎月XR N-B610ML-S
リール:フォースマスター200DH

手巻きタックル
ロッド:炎月リミテッドFS-B66M
リール:オシアコンクエストCT200PG

ライン:PE タナトル8・0.8号
リーダー:フロロカーボンリーダー2~5号(3m)
フック:鯛ラバPEアシストフック「佐々木流IPPON勝負」バーブレスM、L、喰わせ鈎/バーブレス 8号、10号、12号、14号
タイラバヘッド:炎月ヒューストンバクバク TGヘッド45、60、70、90g、炎月タイガーバクバク60、80、100、120、150g
タイラバネクタイ:コブラカーリーコブラカーリースリムトラッドピンテール、(レッドゼブラ、オレンジゼブラ、シャインオレンジ)、プロトネクタイ

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