釣り場の情景~写真から思い出される記憶 Vol.1【徳島県・鳴門 堂ノ浦】

釣り人なら「記憶に残る釣り場風景」というものがある人も多い。それがよく通うホームグラウンドでも、1度しか行けなかった所でも。現実では釣り場には行けない今、以前に釣り場で撮った風景写真を見ていると、いろんな記憶が浮かんできた。今回はその1枚目、徳島県・鳴門 堂ノ浦。【編集部 倉橋卓司】

自称、カレイマニアの記者。つりそく(株式会社 名光通信社)に入社してから船釣りを覚えたが、釣りを始めたのは小学校低学年の頃からなので、すでに釣り歴は40年オーバー。その中でも、同じくカレイマニアの父と足繁く通ったのが、この釣り場。通常の筏とは違い、屋根、トイレ付きの「屋形」と呼ばれる大型の筏が、ウチノ海と呼ばれる湾内に多数浮かび、その風景はひと目で分かるほど特徴的。

この釣り場を初めて訪れたのは、中学1年生の秋。それまでは、カレイを求めて泉州沿岸や家島諸島、淡路島、伊勢志摩などへ出掛けていたが、ある日、父が買ってきた「つりそく(週刊釣場速報)」に堂ノ浦のカレイの釣果が載っていたのが、きっかけ。当時、明石海峡大橋はなく、大阪南港から夜のフェリーで徳島港へ渡り、そこから夜中に父の運転する車で鳴門へ走ったのを思い出す。

初めて釣行した時は何も分からず、船頭に言われるままに上がった屋形で、それまでの波止や砂浜から狙うような普段通りの釣りをしていたが、この日が記者のカレイ釣りのひとつのターニングポイントになった。

釣果は確か、親子2人で2ケタちょいと普通に満足できたものだったが、迎えの渡船で乗り合わせたベテランの釣果は、その数倍。子供ながらに負けず嫌いだった記者は、そのコツが知りたくて「どうやって、こんなに釣ったんですか?」と聞くと、「(筏の)場所もあるけど、竿数を出してマキエで寄せて釣るんよ」と教えてくれた。

堂ノ浦で「土」と呼ばれる、サナギ粉と土のマキエセット

マキエ!? それまで波止からのチョイ投げがメインだった記者。カレイは溜まり場所を見付けて釣るイメージだったので、「寄せる」という考えはなかったが、朝に筏に上がった時に、船頭が「土(土とサナギのマキエセット)いる?」と言った意味が分かった。チヌ狙いにだけ使うものと思っていた「土」。それが、筏からの釣りでは、カレイにもマキエが有効だということを。

2008年の初釣り時、同行した編集部員に撮ってもらった記者親子

それから30数年、堂ノ浦は記者親子にとってカレイ釣りのホームグラウンドに。毎年1月2日の初釣りで始まり、春は5月のゴールデンウイークまで。そして、秋は10月半ばから竿納めまでと、カレイのシーズンには常連になっていった。

花見カレイのシーズンは終盤だが、今年はまだ未釣行。でも、記者にはこのウチノ海での釣りシーンが次々と思い出されてきた。

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