80cm超のマダイに巨大アコウ(キジハタ)まで! 魅惑の「紀北ディープ」攻略

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

好評をいただいております「佐々木洋三と行くっ!ハマるっ鯛ラバ体験会」は、お陰様で31回を数えました。今回は関西マダイの三大漁場の1つ、加太を中心に紀北のディープエリアをタイラバで探るという、特別企画のレポート。乗船したのは本紙でもお馴染み、和歌山・海南の KAISHIN( 神田泰志船長)だ。

快適なタイラバ専門船

5月下旬の早朝、一路海南を目指す。乗船場所は海南インターを降りて、わずか3分の距離。集合は5時と早いが、大阪市内から約1時間で到着できるのが楽だ。船体がひと回り大きくなった海神5号(乗客数12人)のキャビン前には、18本ものロッドホルダーが装着。少しでもアングラーに快適に釣りをしてもらおうと今回はミヨシの手スリを高くし、楽に寄り掛かることができるようになった。

キャビンは冷暖房が完備。乗船する毎に船にはさまざまな改良が施され、快適な船に仕上がっている。

5時半に出港。目指す漁場は友ケ島北側の水深50~60m前後のエリアだ。この時期、いつもならばシャローに出てくるはずのマダイが、まだ深場に居残っており、「海が少し変だ」と神田船長。

この日は大潮3日目の潮回り、ちょうど下げ潮に転流するタイミングでのスタートフィッシングとなった。

体験会の参加者には90〜100gのヘッドをセットするように伝える。釣座は、全員が右舷に並んでのドテラ流し。初めての参加者には、タイラバの底の取り方を丁寧に指導した。

体験会初、80cm超え現る

開始早々の6時40分、初参加の十川敬夫氏に良型のマダイがヒット。

50cmの美味しそうなマダイを釣り上げた。ネクタイはベイトのイワシを意識した、トラッドピンテールのレッドゼブラだった。

続く42分には、初参加の田中伸和氏が45cm前後のマダイをキャッチ。ガシラなどの根魚がポツポツと釣れ続く中、7時21分には胴の間で体験会常連参加メンバー、小川一幸氏に40cm前後のマダイ、24分には田中伸和氏が2尾目のマダイを追加した。

幸先のよいスタートに、参加者一同の顔も綻ぶ。田中氏のマダイを撮影していると、ミヨシで歓声が上がった。

兵庫県小野市から参加された平山義彦氏が大ダイを釣り上げたのだ。計測してみると、ジャスト80cmのメスの大ダイ。

30回を超える体験会の中で、80cm超は初の快挙! しかも、加太で80cm超は1年ぶりと、神田船長。人生初の80cm超えに、相好を崩す平山氏に伺うと、巻いても巻いても糸を出され、60mラインからなかなか浮上しない。

青物かとも思って、沈黙していたのだと言う。バレるなよ、バレるなよ、と祈りながらも、いつの間にか喉はカラカラ。ようやく浮上し、船長のタモに納まった時は、思わず足が震えたと言う。ネクタイはカスタムラバーのレッドゼブラを、以前本紙で紹介した型に合わせてカットした手作り品。フックはタイラバ専用喰わせ鈎14号のバーブレスシングル。

「佐々木流I PPON勝負」はネクタイもよくなびき、大ダイにも抜群のアピール、と喜びも一入だった。続く7時31分に辻野博之氏がレッドゼブラで良型のアコウをゲット。7時45分には小川氏がコブラカーリーのバチコーラ
で小ダイをキャッチ。我々も、タモ入れの手を休める間のない好展開となった。

大阪湾の「黒ダイヤ」

さて、クログチという魚をご存知だろうか?関西では紀淡海峡の水深100~200mに棲息するニベ科の魚。「ノドグロ」の異名を持つアカムツよろしく、喉の奥が黒いからクログチ。刺し身は極めて美味、中でも焼霜造りは絶品でアカムツよりも甘く香りに品がある。アカムツが「中深海のルビー」なら、クログチは「大阪湾の黒ダイヤ」と称される所以だ。

潮流の速い紀淡海峡ゆえ、釣ることができるのは潮止まりの限られた時間帯、だから乱獲されることもない。エサは魚の切り身か青イソメのチョン掛けだが、神田船長は、そのクログチをタイラバで狙うメソッドを確立した。

8時15分に玉垣元庸氏のロッドが絞り込まれた。見るからにマダイの引きではない。丁寧に巻き上げ、仲みゆきさんのタモに納まったのは、40cmの丸々と太ったクログチだった。8時20分、同じ漁場で田中氏が40cm超のマダイを追加。それから9時までの間に、先ほど大ダイを釣り上げた平山氏がガシラ、アコウを追加した。

絶品巨大アコウ!

9時20分、同じ漁場で小川氏のロッドが大きくしなった。魚の突っ込みが半端ではなく、これも大ダイかと思われたが、マダイの叩き方ではない。そして、タモに納まったのは50cmを優に超える、丸々と超えた巨大アコウだった。

何と、大ダイ、クログチ、巨大アコウと紀北の高級魚が顔を揃えたのである。

神田船長は潮を読み、潮速に合わせ、船を筋を見事に変化させる。

下り潮に転流すれば、潮を迎えに北上する。この的確な潮読みが、この日の釣果を左右した。10時55分、初めてのタイラバ釣りで瀬戸耕治氏もマダイをゲット、格別の喜びようであった。正午にはミヨシに陣取った弥谷和也氏がマダイと大型のコチを追加。十川氏はマダイとメジロを追加した。

この日は終始、誰かのロッドが絞り込まれる、釣果に恵まれた。豊穣の紀北のディープタイラバ、ぜひ、皆さんもチャレンジしていただきたい。

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