年中大ダイが狙える夢のフィールド「美保関沖」!釣り方のコツも公開

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

今春、「春の大ダイ乱舞 2日連続ハチマルの快挙を達成! 使用アイテムも公開」と、本サイトにも紹介された美保関沖の大ダイ釣り。

【春の大ダイ乱舞】2日連続ハチマルの快挙を達成! 使用アイテムも公開

そんな、境港の遊漁船・フィールズの仲野肇船長から、10月23日夕刻、電話があった。

「佐々木さん、まだまだ大ダイが釣れ盛ってるんです。今日も食べ頃サイズから88cmまで、船長も含めて3人で計30尾。大きいところは60、65、70、75、83、88cm、惜しいかな、あと少しで90cm超えだったんですけどねぇ…」。

越冬を前にして、荒食いをする時期ではあるが、それにしても、凄まじい釣果である。

私は居ても立っても居られなくなって、船が空いていた26日をチャーター。釣友の気象予報士に尋ねると、天気は太鼓判と言う。歯科医、オペラ歌手、気象予報士の先生方にお声を掛けて、晩秋の大ダイ狙いとなった。

晩秋の大ダイに期待を寄せて出船

6時に港に集合し、出船。船長が用意してくれた氷をクーラーに詰め、走ること1時間。早速、実績のあるポイントへ到着した。

水深は60m、ドテラ流し釣法なので、船長は「100gのヘッドをセットしてください」と言う。私はPE0.8号を巻いた電動タックルに、「炎月 バクバクTG」90gを。PEライン1号を巻いた手巻きタックルには、鉛の「炎月ドテラバクバク」100gをセット。

私のスタイルは、例によってロッドホルダーに固定した電動タックルと、手巻きタックルの二刀流釣法だ。

電動タックルのメリットは、クラッチのオン・オフだけで、オートマチックにタイラバの操作が可能な点。また、ドテラ釣法で水深の2、3倍も流されたタイラバを回収するのも楽チンである。

一方、手巻きタックルは、巻きの重さから潮の速さを感じながら探ることができる。

2セット投入することで、ネクタイの形状やカラー、巻きスピードをかえて、2倍の情報を得ることができる。もちろん、事前に船長や仲間の了解を得ておくことが大切だ。

7時45分、この日最初にロッドを曲げたのは、歌手の松本薫平氏だった。美保関沖には似合わない、小ダイサイズからのスタートである。

続いて8時半に、気象予報士の南利幸氏が、アオハタをキャッチ。

潮は0.6~0.8ノットで流れているが、この日はなぜかマダイの活性が低い。船長は、少し深場のポイントへ船を移動させた。

大ダイポイント

仲野船長が美保関沖の大ダイポイントを探り出すのには、それなりの苦労があった。

普通は、海図に記された天然魚礁や、人工魚礁を中心に、魚の付き場を探し出す。しかし、その方法では、どうしても中小型が中心で、サイズが伸びないのである。

逆に、何の変哲もないフラットな砂地を手探りで探し、そこから大ダイポイントを探り当てた。

海図の等深線を読み込み、わずかに谷状になった凹地を選ぶ。ドテラ流しで、その谷筋の斜面をタイラバがかけ上がるように、あるいは、かけ下がるように船をトレースさせ、谷筋に点在する大ダイを効率よく釣り上げることに成功したのだ。

GPSで同じポイントに船を着けても、その日の潮流や風向きによって、その谷筋をトレースできるか分からない。釣果は潮流、風向き、海図を読み、キチンと谷筋をトレースする操船力にかかっている。

長年にわたって、美保関沖の大ダイ漁場を探ってきた仲野船長の、経験の賜物だ。

今度は水深70m、少し沖合に船を出した。最初の流しで、私の電動タックルの穂先が大きく引き込まれた。

その叩き方から、良型のマダイかと思ったが、少し沖合に浮かび上がったのは、巨大なアオハタだった。

ネクタイは、コブラカーリーオレンジゼブラと、トラッドピンテールのゴールドゼブラの組み合わせ。

9時15分、同じネクタイセレクトで、松本薫平氏が40cmのマダイを、9時45分に廣田克征氏も同じネクタイ仕様で50cmのマダイをゲットした。

「う〜ん、潮がおかしいな」と船長。「ちょっと大きく移動しますよ」と船を走らせた。風が強くなり、乗船者は船尾へ。

「先日、88cmが上がったポイントです」と、船長の言葉に、船が止まる前から、全員がスタンバイ。

11時、風が強く、船足が速いので、デッドスローで巻き続ける。ほどなくして、私の手巻きタックルにジャレ付くような小さなアタリ。そのまま巻き続けること数m、ようやく、穂先が引き込まれた。

穂先を叩く特有の引きは、マダイっぽい。そんなに大きくはなさそうだ。慎重に巻き寄せると、今度は電動タックルの穂先が海面に突っ込んだ。これは、紛れもなくマダイの引きだ。

電動タックルの巻きスピードを、デッドスローから素早く13メモリへシフト。後は、楽楽モードで勝手に巻き上げてくれる。

私は手巻きタックルに集中した。しかし、手巻きには40cm超のレンコダイ、電動には54cmのマダイ、残念ながら60cmには届かなかった。

大ダイ現る

強風の中、しばらく沈黙が続いた。アタリがあってもマダイが乗ってこないのだ。おそらく、巻きスピードが早過ぎるのだろうと話していた12時だった。

この日、絶好調の松本薫平氏のオシアコンクエストCTのドラグサウンドが、船上に響き渡った。まるで青物ような走り方である。ドテラ釣りでは、マダイも横走りする。

全員がタイラバを回収し、松本氏のファイトを見守った。そして、船長のタモに収まったのは、80cmに少し手が届かぬ78cmの大ダイであった。美保関沖の大ダイ神話が成就した瞬間だった。

釣り方のコツ

やや、風が落ちて潮が動き始めた。「マダイは潮を釣れ」と言うが、ドテラ釣りの場合、潮速のみならず、船は風で流されるので、風向き、風速も考慮して巻きスピードをコントロールする。

ドテラ釣りでは1回着底するごとに、タイラバは船から遠退いていく。まめにヘッドを交換して、ベストバランスの重さを探し出すことも、ドテラ釣りの基本だ。

ヘッドを重くし、廣田克征氏のロッドがしなる。続いて、この日絶好調、ミヨシに陣取った松本氏の竿が曲がった。首尾よく50cm台のマダイのワンツーフィニッシュで、納竿となった。

この1年で、表内の大ダイ実績を誇る、フィールドの仲野船長。出船できれば、厳冬期でも大ダイのチャンスは必ずある。

掛ければ、その強烈なファイトに喉がカラカラになる、タイラバの大ダイ釣り。皆さんもぜひ、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

ランキング

釣り場・釣り船の情報をまるっとチェック!